第1回「発達とはなにか」という本から学んだこと

◎ 「今を生きる私」に必要なのは…

「印象に残る本は何ですか?」と聞かれれば、私が真っ先に思いつくのは『発達とはなにか』(永野重史著、東京大学出版、2001年)です。専門書なので決して読みやすい本ではありませんが、10数年前のこと、ファストフード店でコーヒー片手に夢中で読みふけったことを覚えています。
何がそれほどまでに私を夢中にしたかというと、本書はこれまで自明とされてきた心理学の基本を「本当にそうなのか」と疑い、丁寧に検証する内容に溢れていたからです。まさに違う視点から心理学を捉えることに多くの示唆を与えてくれる書籍でした。加えて、その「違う視点」は環境や文化的な要因をもっとも重視していることも、魅了された理由だったと思います。
もちろんこれまで心理学が基盤としてきた理論等は、学ばれる必要があり理解されるべきものであることは明らかです。しかし、果たして現代に生きる私たち、さらに言えば今この地域に生きる私たちにとってこの説は適切なものなのだろうかと、貪欲に考えてみることもまた必要である、ということに気づかされました。偉大な心理学者フロイトやユング、エリクソンやボウルビーがそういったからと言って、今を生きる私がすべてを鵜呑みにしてはいけなかったのです。

◎ 子育ても一緒?

私がこの書に魅了されてから十数年後の現在、社会は大きく変わりました。なかでも子どもの育ちに関することは、環境の影響を受けて大きく変わったことの一つです。きっと子育ても、これまで「こうすれば良い」とされてきたことが、今となっては正しいと言えないこともあるでしょう。一方で現在、各個人がSNSなどを通じて溢れんばかりに発信する「これが良い」とする子育てもまた、自分や我が子にとって適切な方法だとは限りません。
ということはやはり子育ても、「基本」を押さえつつ「本当かな?」と検証するなかで、今ここに暮らす私たちそれぞれに合った自分流の子育てを見つければよいということになるでしょうか。「権威のある先生が言ったから」、「みんながそうしているから」ではなく、自分と我が子にとってより良い子育てを見つければよいのでしょう。
ではどうやって自分流の子育てを見つけましょうか?
そこで今後このコーナーが、自分流の子育てを見つけるうえでお役に立てれば良いなと思っています。そのような目的をもって進めていきたいと思っています。

第1回「発達とはなにか」という本から学んだこと